可惜一杯茶(惜しむべし一杯の茶)

◎可惜一杯茶(惜しむべし一杯の茶)
章禅師が修行中の時、師の投子和尚が章禅師に「森羅万象この中にあり」と言ってお茶を差し出した。章禅師は「森羅万象なんのところにかある」と言って、茶碗を吹っ飛ばしてしまった。そこで投子和尚は「惜しむべし一杯の茶」と言ったのである。
章禅師は何も言わずにただ一杯のお茶を飲めばよかったのである。
投子和尚も「森羅万象この中にあり」などと言わないで、趙州和尚のように「喫茶去(お茶を召し上がれ)」と言えば好かったのではなかろうか。そうすれば、章禅師も何も言わずに素直にお茶を飲んだのではなかろうか。